【関連情報】PETとPETG – “G”のあるなしの意味

研究室で使用するボトルや容器には、さまざまなプラスチックが使われています。その中でも、飲料ボトルなどで身近な「PET」と、研究用のメディアボトルなどに使用される「PETG」は、名前も見た目もよく似た素材です。
たった一文字「G」の違いですが、今回は、PETとPETGを比較しながら、特徴とメリット・デメリットを考えてみます。

PETとは

PET樹脂イメージ

PET(ポリエチレンテレフタレート)は、飲料用ボトルや食品包装をはじめ、身の回りのあらゆる場所で利用されている汎用性の高いポリエステル樹脂です。研究の現場でも、透明度の高さと優れたコストパフォーマンスから、試薬瓶や各種保存容器に広く採用されています。

PETは分子が規則正しく並んだ結晶部分と、不規則に並んだ非晶部分が混在しています。この結晶構造が、高い強度、優れた耐薬品性、そして気体や水分を通しにくいバリア性を生み出しています。一方で、結晶化が進みすぎると結晶により光が乱反射するため白濁し、脆化を起こしやすくなります。

PETは主にC-PETとA-PETに分けられます。PETは溶融状態から成形する際に、徐々に冷却すると結晶化されて白濁しますが、耐熱性が向上します。これがC-PETで、電子レンジにもかけられる食品容器などに使用されます。

一方、溶融状態から成形する際に、急速に冷却すると結晶化する時間がなくなり、白濁せずに透明になりますが、耐熱性や加工の自由度は下がります。これがA-PETで、ペットボトルなどで馴染み深い樹脂です。

PETGと比較されるのは見た目にも似ているA-PETとなり、A-PETとの比較について考えてまいります。

PETGとは – “G”の正体

PETG分子構造イメージ

一方、PETGは、PETを製造する過程でエチレングリコールの一部を、CHDM(シクロヘキサンジメタノール)という別のグリコール成分に置き換えることで作られる樹脂です。A-PETやC-PETに対して「G-PET」とも表記され、”G”は「Glycol-modified(グリコール変性)」を表しています。

PET(A-PET)が冷却方法により透明性を実現しているのに対し、PETGはそもそも結晶化しないように分子構造に手を加えることで透明性を実現しています。この非晶質化こそが、PETとPETGの違いを生む最大のポイントです。

PETGのメリット

PETGメリットのイメージ

① 透明性を維持しやすい
PETも本来の透明度は高いのですが、加工工程で結晶化が生じると白く濁ってしまうことがあり、肉厚な成形は冷却に時間が掛かることで結晶化が進み、白濁する傾向があります。PETGは非晶質であるため白濁が起こりにくく、成形後も高い透明性を保ちやすいため、液体の微妙な変化を確認することが可能です。

② 成形・加工のしやすさ
PETは急速な冷却を要し、加熱すると再結晶化しやすいため、PETGと比較した場合は透明で複雑な成形は不向きとされています。PETGは結晶化しにくい性質を持つため、加熱成形をしても透明度を保ちやすく、複雑な形状の容器やパーツの製造にも適しています。

③ 高い耐衝撃性と柔軟性
PETGは非晶質であるため分子が比較的自由に動くことができ、衝撃を受けてもクラックが入りにくく、割れにくいという特長があります。実験中に誤って落としてしまった場合でも、PETG製品であれば破損のリスクを抑えられます。

PETGのデメリット

PETGデメリットのイメージ

① 耐薬品性はPETよりやや劣る傾向
PETの緻密な結晶構造は、薬品や溶剤の浸透を防ぐバリア性に優れています。PETGは非晶質構造ゆえに分子間にわずかな隙間が生じやすく、有機溶剤に対する耐性は全般的にPETよりもやや弱くなる傾向があります。

② コストはPETより高め
PETGはPETに比べてコストが高くなる傾向があります。大量消費される汎用容器においては、コストを重視してPETが選ばれることも少なくありません。

③ 耐熱性は限定的
PETGはPETと同様、耐熱温度はそれほど高くなく、概ね60~70℃前後が使用上限の目安とされています。オートクレーブ滅菌のような高温処理には対応できないため、滅菌が必要な用途にはPP(ポリプロピレン)など耐熱性の高い素材が選ばれます。

研究現場での使われ方

研究員イメージ

研究用ボトルの分野では、試薬や培地の保存容器としてPET製・PETG製のいずれも見られます。日常的な取り扱いが多く、落下などによる破損リスクを避けたい場面ではPETGボトルが選ばれる傾向にあり、コストを抑えつつ薬品保存の安定性を重視する場面ではPETボトルが選ばれる傾向にあります。

なお、極低温での凍結保存が必要な液体窒素凍結保存用バイアルや、化学的な安定性が特に求められるピペットチップについては、PETやPETGよりもPP(ポリプロピレン)といった、より過酷な条件に適した素材が選ばれるのが一般的です。製品ごとに求められる性能は異なるため、それぞれに最適な樹脂を選定することが、品質を支える第一歩となります。

用途に応じた素材選定を

PETかPETGか選択イメージ

PETとPETGは、どちらも優れたポリエステル樹脂です。しかし”G”の有無による結晶性・非晶質という根本的な構造の違いが、透明性、耐衝撃性、加工性、耐薬品性といった特性の違いへとつながっています。

  • 耐薬品性やコストを重視するなら → PET
  • 耐衝撃性やより高い透明性を重視するなら → PETG

研究用プラスチック製品において大切なのは、「どちらが優れているか」という単純な優劣ではなく、「どのような研究・保管条件に、どちらが適しているか」という視点がポイントではないでしょうか。

このように、樹脂選定ひとつで実験の再現性や安全性に影響を与えることがあります。ターソンズでは、樹脂ごとの特性に応じて、ボトル、バイアル、ピペットチップなど、それぞれの製品に最適な樹脂を選定し、研究現場の信頼に応える製品づくりに取り組んでいます。

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