ボトルやチューブ、フラスコなど、バイオ研究の現場で使われる樹脂製ラボウェアには、しばしば「USP Class VI適合」という表記が見られます。今回は、このUSP Class VIとは何を意味する基準なのか、そしてなぜラボウェア選びにおいてこの適合性が重要なのかをご紹介します。
USP Class VIとは

USPはUnited States Pharmacopeia(米国薬局方)の略で、医薬品や医療関連材料の品質基準を定める公的な文書です。その中の「USP <88> Biological Reactivity Tests, In Vivo」という項目で、プラスチック材料の生体反応性を評価する試験が規定されており、Class VIはその中で最も厳格な区分にあたります。
Class VIへの適合を得るためには、材料そのものではなく、材料を生理食塩水・植物油などの媒体に浸して得た抽出液を用いるなど、3種類の生物学的試験に合格する必要があります。
- 全身毒性試験:抽出液をマウスの静脈内に注射し、急性毒性の有無を確認
- 皮内反応試験:ウサギの皮内に抽出液を注射し、局所刺激反応を評価
- 移植試験:小さなサンプル片をウサギの組織に埋め込み、炎症反応を観察
さらに、抽出条件として50℃・70℃・121℃といった複数の温度条件が設定されており、保管・製造・滅菌といった実使用に近い条件下でも生体為害性がないことを確認する、非常に手間のかかる試験体系になっています。
なぜラボウェアにUSP Class VI適合樹脂が重要なのか

細胞培養や血清・培地の保管、生体試料の取り扱いにおいて、容器由来の溶出物(可塑剤、触媒残渣、酸化防止剤など)はごく微量であっても、細胞の増殖や実験結果に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ感受性の高い細胞株を扱う実験や、動物実験・非臨床試験につながるデータを扱う研究では、容器由来のアーティファクトを排除できるかどうかが、実験の再現性・信頼性を大きく左右します。
USP Class VIへの適合は、こうした容器由来のリスクについて、標準化された動物試験に基づく客観的な裏付けとなる国際的な指標と位置付けられます。
誤解しやすいポイント
一点注意したいのは、USP Class VIはあくまで材料自体の生体反応性(急性毒性・刺激性)に関する基準であり、無菌性やDNase・RNaseフリーであることを保証するものではないという点です。滅菌方法(ガンマ線滅菌など)やヌクレアーゼフリーの管理は、それぞれ別の試験・工程によって担保されます。ラボウェアを選定する際は、USP Class VI適合に加えて、滅菌方法や各種フリーの有無もあわせて確認することをおすすめします。
最後に
USP Class VIは、樹脂材料が生体に対して安全であることを示す最も厳格な基準のひとつです。日本国内でもグローバル市場を見据えた研究開発が進んでおり、国際的に広く採用されている評価基準を意識した動きがある中、USP Class VI適合材料への関心が高まっています。
ターソンズ製品の多くは、原料段階からUSP Class VI適合樹脂を採用し、高品質な製品を安定して提供することで、研究者の皆さまが安心してデータの信頼性を積み上げられるラボウェアづくりに取り組んでいます。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど、全てのボトル類(細口試薬瓶、広口試薬瓶、ハンドル付瓶、大型瓶、角型瓶、培地ボトル)にUSP Class VIに適合した樹脂を使用しています。

